
アイアンブラック
(鉄粉×天然ゴム)
鉄粉は金属加工工場の製造工程で廃棄されるものを使用。主にレーザー切断加工の際に生じる微細な鉄の粉末に、天然ゴムを混ぜ合わせました。表面には鉄粉ならではの重厚感ある質感があり、磁石が吸着するという金属素材ならではの特性も備えています。
開発ストーリー
ゴムと金属は、一見すると対極にある素材です。しかし、金属タンクや配管の継ぎ目をシールするリングやパッキンなど、金属が使われる現場では必ずといっていいほどゴムが寄り添っています。硬くて変形しないものと、しなやかで衝撃を吸収するもの——この二つが組み合わさることで、初めて機能する仕組みが世の中には数多く存在します。そのような考えから、鉄の粉末を天然ゴムに混ぜるという試みが始まりました。

素材の提供に協力してくれたのは、埼玉県川口市に拠点を置く株式会社かねよし。昭和22年の創業以来、鋼材の流通から始まり、現在はレーザー切断・曲げ・溶接などの金属加工を幅広く手がける老舗メーカーです。鉄・ステンレス・アルミなど多様な素材に対応しており、医療機器から建材、デザイナーズ家具まで、様々な分野の顧客に応えてきました。

レーザー切断加工では、レーザー光が金属板を溶かしながらアシストガスで吹き飛ばすことで、精密な形状を生み出します。この工程で必然的に発生するのが、ごく細かい金属の粉末——鉄粉です。板材そのものや大きな端材はスクラップとして有価物で回収・再利用されますが、粉末状になった鉄粉だけは再利用の商流に乗りにくく、これまで費用を払って産業廃棄物として処理されていました。吉田社長から、次のような話をうかがいました。
「鉄はほぼ100%リサイクルできる素材ですが、パウダー状になったものだけはなかなかうまく流れなくて、お金を払って持っていってもらっていました。活用していただけるなら、ありがたいです。磁石がくっつくというのも面白い使い方ができそうで、どんな製品になるのか楽しみにしています」

かねよしから届いた鉄粉は、レーザー加工機の下に設けられたオイルパンに溜まった微細なパウダー。以前、別の工場から試験的に入手した切り粉(より粗い金属の削りかす)は、ゴムを練るローラーや金型を傷つけるほど硬く、作業者がけがをする危険もありました。しかしレーザー加工によって生じた鉄粉は粒子が均一で細かく、天然ゴムとの相性は良好でした。
オープンロールと呼ばれる2本のローラーの間に鉄粉を加えてゴムを練り上げると、深みのあるブラックへと色が変化しました。練り上がった素材には鉄粉ならではのほどよい重量感があり、表面にはざらりとした独特の質感が宿ります。そして何より、磁石が吸着するという機能が加わりました。壁面ボードやタイルなどとして使えば、マグネットで小物をとめるといった新しい活用法が広がります。ゴムのしなやかさと鉄の機能性が一体となった、これまでにない素材が誕生しました。

素材協力:株式会社かねよし
昭和22年に埼玉県川口市で創業した金属加工メーカー。鋼材の小売・卸売からスタートし、現在はレーザー切断・曲げ・溶接を中核に、鉄・ステンレス・アルミなど多様な素材の加工を一貫して手がけています。医療機器、食品機械、建材から個人のデザイナーまで幅広い顧客に対応。毎月50〜60件の新規問い合わせを受けるなど、柔軟な対応力と高い技術力で日本のものづくりを支えています。

フェアトレードの天然ゴムを使用
「強制労働が行われていないこと」「児童労働が行われていないこと」「直接、間接を問わず、すべての生産者に公正な対価が支払われていること」「生産者・労働者の安全で健康的な労働条件が守られていること」を確認しているフェアトレードの天然ゴムを使用しています。



