
なぜ“生分解性素材”が今注目されているのか
持続可能な素材が求められる時代に
私たちがものづくりに携わる中で、年々強く感じるのが「環境に配慮された素材開発」への社会的な要請です。海洋プラスチック問題やCO₂排出削減、資源循環の必要性など、地球規模の課題が顕在化する中で、サステナブルな製品づくりは企業の責任でもあります。
そうした背景の中で、土に還る「生分解性素材」が改めて注目を集めています。自然の力で分解され、焼却しても有害物質を出さない。そんな素材を活用することで、私たちは環境への負荷を減らすだけでなく、循環型社会への一歩を踏み出すことができます。
Rebburが選んだ「天然ゴム」の可能性
Rebburプロジェクトでは、環境との共生を前提とした素材開発を行いました。中でも、私たちが特にこだわったのが、天然ゴムの生分解性です。ゴムというと、人工的な素材のように思われがちですが、実は天然ゴムは植物から採れる再生可能資源であり、自然に還る素材でもあります。
天然ゴムとは? 構造と特徴
ゴムは“木の樹液”から生まれる天然素材です
私たちがRebburの素材として採用している天然ゴムは、ゴムノキ(Hevea brasiliensis)という植物の樹液「ラテックス」から作られます。化学的に言えば、主成分はポリイソプレンという高分子。これを凝固・乾燥・精製することで、私たちが扱っている天然ゴムになります。
この天然ゴムは、ただの弾力素材ではありません。引っ張ってもすぐに戻る弾性、割れにくさ、柔らかさといった特性をもち、衝撃吸収性にも優れています。また、周囲の素材を傷つけにくく、環境との相性も良い。まさに「やさしい機能性」を備えた素材です。
合成ゴムとの違いは“自然に還る”こと
ゴムというと、合成ゴムを思い浮かべる方も多いかもしれません。合成ゴムは石油を原料に化学的に作られるため、分解されにくく、焼却時に有害物質を発生することもあります。それに対し、天然ゴムは植物由来で再生可能、かつ微生物によって分解可能な“生分解性素材”なのです。
生分解性とは、素材が微生物の働きによって物質が自然界で分解され、最終的に二酸化炭素(CO₂)、水(H₂O)、そして微生物の体(バイオマス)に変換される性質のこと。つまり、ゴミとして捨てられても、最終的には自然に還るということです。
もちろん、分解には条件があります。たとえば、適度な温度・湿度、土壌中の微生物の存在などが必要です。逆に、乾燥した環境や冷涼な気候では分解が遅くなることもあります。ですが、それでも「最終的に分解される」という点において、天然ゴムは非常に環境負荷の少ない素材であることは間違いありません。
Rebburでは、こうした天然ゴムの特性を最大限に活かすことで、「地球にやさしく、人の暮らしになじむ素材」を目指しています。
Rebburが使用する天然ゴムの環境性能
フェアトレードとサステナビリティへのこだわり
私たちがRebburで使用している天然ゴムは、ただ生分解性があるというだけではありません。栽培・収穫の過程においても、人と環境に配慮された原料を厳選しています。具体的には、フェアトレードの認証を受けた天然ゴムを使用しています。
フェアトレードとは、開発途上国の生産者に適正な対価を支払い、児童労働や過酷な労働環境を排除する国際的な仕組みです。私たちは、この考え方に深く共感し、Rebburの素材にもその精神を取り入れています。
燃やしても有害物質を出さない、地球にやさしいゴム
また、Rebburの天然ゴムは、廃棄時にも環境への配慮がされています。燃やしても有害なガスが発生しないことが確認されており、産業廃棄物としてではなく、安心して取り扱える素材です。環境への負荷を極力抑えることを前提に、素材選びからプロセス設計までを行ってきました。
天然素材であることを最大限に活かしながら、使う人・作る人・そして地球にとってやさしい製品をつくる。Rebburは、そんな想いから生まれた素材です。
Rebburに見る、環境と共生する素材開発のかたち
ゴムの未来を、もっとやさしく
私たちはRebburという素材を通じて、「ゴム=無機質な工業素材」というイメージを変えたいと考えています。天然ゴムが本来持っているしなやかさ・温かみ・環境へのやさしさに、食品廃材という新たなエッセンスを加えることで、まったく新しい表情を持ったゴムが生まれました。
それは機能性を持ちつつも、感性に訴える素材。手にしたときに「これ、何の素材だろう?」と感じてもらえるような、心に残る存在感を目指しています。
つくる責任、つかう楽しさ
サステナブルな社会を目指すうえで、私たちには「つくる責任」があります。そして同時に、ユーザーの皆さんにも「つかう楽しさ」を提供できる素材でありたいと考えています。Rebburは、廃材に価値を見出し、命を吹き込むことで、「素材を楽しむ」文化そのものを提案しています。
今後も私たちは、より多くの人々と協力しながら、環境と共生する素材開発を進めていきます。Rebburが、そのきっかけのひとつになれば、こんなに嬉しいことはありません。